獣医師のタスクにAIツールを組み込む具体例

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今回は、獣医師のタスクにAIツールを組み込むことで診療が効率化することを紹介します。

特にchatGPT(openAI製)を活用した事例について活用してみましたので、今後の参考にするためにまとめて置こうと思います。

診断支援

患者の症状や病歴を入力することで、疾患の候補を提示する。

獣医師の専門的な知識や経験は非常に重要ですが、診断においては常に情報の豊富さと速さが求められます。ペットの症状や病歴を入力し、ChatGPTが疾患の候補を提示することで、より広い観点から問題点を分析し、早く正確な診断が可能となります。

以下は仮の業務フローの例です。

  1. 症状の入力: 獣医師がペットの徴候を入力し、ChatGPTが症状から疾患の候補を提示する。
  2. 疾患の詳細: ChatGPTが提示した疾患の詳細情報(原因、症状、治療法、予後など)を提供する。

このようにすることで、疾病の検討が加速し、プロブレムリストの立案がさらに正確かつ高速化し、獣医師間の診療方針の差も少なくなることが予想されます。

患者が発する音声を認識し、自動で診察内容を記録する。

ペットの診察中、(仮に電子カルテが導入されている場合でも)手元にあるペンや紙でメモを取ることが多いと思います。

しかし、診察内容を手書きで記録することは、誤字脱字のリスクや記録の漏れの可能性がある上に獣医師間での能力のばらつきも大きいため、完全に安心できませんよね。

病院によっては飼い主様とのコミュニケーションを重視するために、診察室でのメモを取らない獣医師もいるかもしれません。

そこで、音声認識AI(たとえばWhisperのような)を使って飼い主様と獣医師が発する音声を自動で認識し、その内容をChatGPTでテキスト解析することで、手書きでの記録ミスや漏れが減り、より正確な診察内容の記録が可能になるだけでなく、獣医師の負担も軽減できると考えられます。

以下は仮の業務フローの例です。

  1. 音声認識: 診察中の音声をChatGPTが自動で認識し、診察内容をテキストデータに変換する。
  2. テキスト解析: テキストデータをChatGPTが解析し、症状や治療法に関する情報を抽出する。

この方法で診察を行うことで、ペットの状態や飼い主様とのコミュニケーションに集中し、より高品質な診察を提供可能になると考えます。

過去の診察履歴をもとに、病気の進行度合いを評価し、治療方針を立てる。

獣医師の診療には、患者の過去の診察履歴を考慮することが不可欠です。

過去の診察履歴を自動的に抽出し、病気の進行度合いを評価することで、正確な診断と治療方針を立てることができ、患者の健康回復に寄与すると考えられます。

以下は仮の業務フローの例です。

  1. 診察履歴の抽出: 過去の診察履歴からChatGPTが問題点を抽出する。
  2. 病気の進行度合いの評価: 過去の診察履歴をもとにChatGPTが病気の進行度合いを評価する。
  3. 治療方針の立案: 病気の進行度合いをもとに、治療方針をChatGPTが立案・提示する。

治療支援

治療法に関する情報を提供し、治療の選択肢を広げる。

適切な治療法を選択することは、患者の健康回復にとって非常に重要であり、獣医師は多くの場合、複数の治療法の中から最適なものを選択することが求められます。

ChatGPTによって、豊富な治療法に関する情報を提供し、獣医師が正確かつ迅速に適切な治療法を選択できるように支援すれば、獣医師が自分自身で調べる時間や手間を削減したり、その情報を活用して患者に対する治療を獣医師自身で最適化することができるため、より多くの患者に対応することができるようになります。

以下は仮の業務フローの例です。

  1. 治療法の入力: 獣医師が患者の症状や病歴などを入力し、ChatGPTが治療法の候補を提示する。
  2. 治療法の詳細: ChatGPTが提示した治療法の詳細情報(効果、副作用、投与方法、使用期間など)を提供する。

やってることは従来の「教科書で調べて、獣医師が責任を持って自分で考えて、実行する」のと何も変わらないので、ここにChatGPTが入り込む余地はたくさんあると思います。

薬剤投与量の計算を自動化する

人間が手計算で薬剤量を求めているうちは、誤った計算をしてしまう可能性は排除できません。

ChatGPTを活用することで、薬剤投与量の計算を自動化し、正確な投与量を算出できるかもしれません。

ただし、この技術はデータベースと計算式さえあれば、従来のプログラミングやエクセルでも実行可能なタスクですし、ChatGPTが出現したからと言って、実用レベルの製品が現れるかはなんとも言えないところです。

以下は仮の業務フローの例です。

  1. 薬剤投与量の算出: 獣医師がペットの情報を入力し、ChatGPTが適切な薬剤投与量を算出する。
  2. 薬剤の種類や投与方法の選択支援: 獣医師が患者の情報を入力し、ChatGPTが薬剤の種類や投与方法を提案する。

食事療法の支援を行う

食事は、ペットの健康維持や治療において非常に重要な役割を果たしていますが、病気によっては、適切な食事療法を選択することが難しい場合もあります。

ChatGPTを活用した食事療法の支援を行うことで、ペットの病気に応じた栄養バランスの良い食事療法を提案し、飼い主の理解や協力を得たり、飼い主様自身に調べてもらうよう促すことで、最悪の事態を回避できるかもしれません。

以下は仮の業務フローの例です。

  1. 食事療法の入力: 獣医師がペットの症状や病歴、栄養バランスなどを入力し、ChatGPTが食事療法の候補を提示する。
  2. 食事療法の詳細: ChatGPTが提示した食事療法の詳細情報(栄養バランス、調理方法、食材の選定など)を提供する。

飼い主様とのコミュニケーション

飼い主に対するアドバイスの提供

意識の高い飼い主様に対してペットのの状態に応じた適切なアドバイスを飼い主に提供することで、より健康的で幸せなペットライフを送ることができます。

また、ChatGPTを活用することで、獣医師不在の際でも、患者の状態に応じた一般的で適切なアドバイスを提供することができるかもしれません。

獣医師の負担を軽減し、より迅速かつ正確なアドバイスを提供することができるかもしれません。

以下は仮の業務フローです。

  1. アドバイスの入力: 獣医師や飼い主様がペットの症状や病歴などを入力する。
  2. アドバイスの提供: ChatGPTが適切なアドバイスを提供する。

懸念事項

全体への懸念

患者情報をOpenAI等に送信することは個人情報保護に違反するのではないか?

AIツールは外部のAIプログラムに情報を送信することで機能します。

患者の名前や住所等を伏せていたとしても、ペットの疾病に関する情報を外部に送信することはい個人情報保護に触れる可能性があります。

今後飼い主様の同意を得た上で受診することになる可能性はありますが、上記のツールを制作する上では一番の懸念事項であることは間違いありません。

診断に関する懸念

症状や病歴などの入力に誤りがあり、結果としてAIが誤った解答をしてしまうかも

AIはミスが少なくなるとはいえ、情報の入力を失敗すると、当然ながら誤った解答をしてしまうことになります。

例えば以下のような状況が考えられます。

  • 獣医師が誤ってペットの症状を入力したため、ChatGPTが誤った疾患の候補を提示した。
  • 獣医師が重要な病歴を見落としたため、ChatGPTが正しい診断を行えなかった。

たとえAIを駆使しても、ヒューマンエラーがなくなるわけではないことに留意しておきたいものです。

適切な診断のためには、ペットの診察や検査が必要である

適切な診断のためには、患者の診察や検査が必要であり、ChatGPTのみに頼って診断を行うことは適切ではありません。AIはあくまで「答えっぽい単語」を連ねて出力しているに過ぎないので、検査なしでもある程度の解答を提示する可能性があります。

例えば以下のような状況が考えられます。

  • ChatGPTが提示する疾患候補に対して、獣医師が実際の診察や検査を行わず、ChatGPTのみに頼って診断を行った結果、誤った診断を行ってしまった。

AIが業務を代行してくれたり、スピードや正確性を高めてくれることはあっても、これまでの業務を省略できるわけではないので注意しましょう。

治療に関する懸念

患者の体重や年齢、病気の進行度などを正確に入力する必要がある

診断に関する懸念と同様に、誤った情報が入力されると、過剰投与や適正投与量未満などのリスクがあります。ヒューマンエラーには十分注意を払うべきです。

例えば以下のような状況が考えられます。

  • 獣医師が患者の体重を誤って入力し、ChatGPTが誤った投与量を算出した結果、過剰投与や適正投与量未満の薬剤投与が行われた。

食事療法の支援を行う場合、飼い主様自身が正確な情報を入力する必要がある

食事療法の支援を行う場合、ペットの体調や病歴、栄養バランスなどを正確に把握する必要があります。

誤った情報が入力されると、過度の栄養不良や過剰栄養症のリスクがありますが、食事療法に関しては日常生活で飼い主様自身でAIを活用した食事療法支援サービスのようなものを活用する可能性があるため、かかりつけ獣医師のコントロールができない事例が発生するかもしれません。

例えば以下のような状況が考えられます。

  • 飼い主様が患者の病歴や栄養バランスを正確に計測できず、ChatGPTが誤った食事療法を提案した結果、過度の栄養不良や過剰栄養症に陥ってしまった。

飼い主とのコミュニケーションに関する懸念

ChatGPTが提供する回答が適切でない場合、飼い主様はそれに気づけないかも

現行のWeb検索にも言えることですが、「嘘を嘘と見抜ける人間でないとAIを使うのは難しい」です。

ChatGPTは「専門的」っぽいアドバイスをすることが可能ですが、必ずしもそれが正しいとはかぎりません。我々獣医師であれば誤った情報に築く可能性は高く、真実性の確認は容易ですが、一般の飼い主様にはそういうわけにはいかないでしょう。

例えば以下のような状況が考えられます。

  • ChatGPTが提供する回答が一部分しか提供できなかったため、獣医師が追加で情報提供する必要があった。

まとめ

AIツールを利用して獣医師のタスクを支援することは、診断や治療の迅速かつ正確な実現を目指す上で非常に有用です。AIツールによって大量のデータを高速かつ正確に処理することができ、獣医師の業務を効率的に支援することができるでしょう。

しかし、AIツールを利用する際には、獣医師が判断力や経験を持った専門家であることを忘れずに、慎重な判断を行うことが求められます。AIツールは、あくまで獣医師が適切な診断や治療を行うためのサポートツールであり、AIツールの結果に基づく診断や治療は、獣医師の判断と経験に基づく正確な診断や治療と比較して、不十分な結果を返す可能性があることに留意せねばなりません。

AIツールを利用して獣医師のタスクを支援することは、正確性や効率性の向上につながると同時に、慎重な判断が求められることも忘れずに、適切な活用が必要です。

この記事の一部もChatGPTの手を借りて作成しています。結構読みやすいでしょ?笑

これからの時代はAIとともにあります。今のうちから活用して、次世代を生き抜きましょう。

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