ウサギの消化器生理学:食事摂取から消化過程まで

ウサギはその愛らしい姿からペットとして人気がありますが、その消化器系は他の哺乳類とは異なる特性を持っています。今回は、ウサギの消化器生理学について詳しく解説します。

ウサギの食事摂取の特性

ウサギの食事摂取は、食物のエネルギー密度と胃充填量によって決まります。野生のウサギは季節によって食餌が変化し、エネルギー密度が低く、牧草が主流となります。また、ウサギは選択肢がある場合、よりエネルギー密度の高い食餌を選びます。

ウサギは1日に20回以上食事をし、一度に2~8gの餌を4~6分かけて食べます。特に、明暗サイクルの転換期に摂食頻度が高くなります。ウサギの目は横向きにあるため、食べるときに餌を見ることはありません。餌の選択は嗅覚と、鼻と唇の周りにある敏感な振動筋から得られる触覚情報に頼っています。

ウサギの歯の構造と機能

ウサギの歯は絶えず成長し、上の切歯は1週間に2mmも伸びます。食べ物はまず、3対の切歯(上2対、下1対)によって縦にスライスされ、その後、22本の小臼歯と大臼歯が側方研削パターンで咀嚼します。

大きな舌は、臼歯の研磨面を通過する食物の粒子を循環させます。

繊維質の食物を発酵に適した細かい粒子に分解するには、1分間に120回もの咀嚼動作が必要です。

  • 歯は絶えず成長し、上の切歯は1週間に2mm伸びる
  • 3対の切歯(上2対、下1対)によって食物を縦にスライスし、22本の小臼歯と大臼歯が側方研削パターンで咀嚼
  • 繊維質の食物を発酵に適した細かい粒子に分解するには、1分間に120回もの咀嚼動作が必要

ウサギの消化管の構造と機能

ウサギの消化管には、消化管容積の約15%を占める単純な胃があります。胃のpHは日内変動しますが、一般に他種と比較して非常に酸性です。食後には1.0~2.0まで低下することがありますが、盲腸便摂取後は3.0まで上昇します。胃通過時間は約3~6時間です。

小腸は栄養分の消化吸収の主要部位であり、他の単胃動物と同様です。重炭酸塩は小腸近位部に分泌され、胃から排出される酸性の消化物を中和します。栄養素の吸収は空腸と回腸で行われ、摂取した繊毛からの栄養素の消化吸収もここで行われます。消化は効率的で、食事のデンプンやアミノ酸は回腸遠位部に到達するまでに80%~100%が吸収されます。

ウサギの腸内微生物叢の役割

ウサギの腸内には豊富な微生物叢が存在し、これらの微生物は食物の発酵により栄養素を抽出します。ウサギの腸内細菌叢は乳酸桿菌を欠いており、ほとんどが新種です。成体の糞便群集は経時的に安定していますが、個体間変動もあります。

発酵はウサギの盲腸内で行われ、セルロース、ペクチン、ヘミセルロースが発酵されます。発酵効率は、ペクチン>ヘミセルロース>セルロースの順です。微生物叢が生産する化合物には、アンモニア、中間有機酸(乳酸、コハク酸、ギ酸)、少量のガス(H2、CH4、CO2)があります。これらの化合物は粘膜細胞に輸送され、大腸のエネルギー源となります。

ウサギのcecotropeの特性と役割

ウサギは特殊な便、cecotrope(盲腸便)を産生します。

cecotropeは微生物由来の栄養素で濃縮された発酵消化物で、ウサギが質の悪い食物の栄養含有量を高めるために再摂取します。cecotropeは胃のpHを上昇させる緩衝作用があります。

ウサギは小腸内の微生物によって必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルを摂取します。盲腸便(cecotrope)のタンパク質は、必要なアミノ酸の10%から23%を占めています。

ウサギの消化管運動の特性

ウサギの消化管運動は複雑で協調したパターンを持ち、発酵と糞便の産生を調整します。盲腸と結腸では概日運動パターンが発酵を支配します。

盲腸では蠕動波と蠕動拮抗波が1分間に1~2回の頻度で往復します。

近位結腸ではハウストラ(結腸部に見られるたくさん並んでいる大きな膨らみのこと)の収縮が消化物を混合し、粒径分離を促進します。

まとめ

ウサギの消化器生理学は、その食事摂取の特性、歯の構造と機能、消化管の構造と機能、腸内微生物叢の役割、cecotropeの特性と役割、消化管運動の特性といった多くの要素から成り立っています。特に、ウサギの消化器系は以下の3つの特性が重要です。

  1. ウサギの歯は絶えず成長し、食物を効率的に咀嚼します。
  2. ウサギの腸内には豊富な微生物叢が存在し、これらの微生物は食物の発酵により栄養素を抽出します。
  3. ウサギは特殊な便、cecotrope(盲腸便)を産生し、これを再摂取することで質の悪い食物の栄養含有量を高めます。

これらの特性を理解することで、ウサギの健康管理や飼育に役立つ情報を得ることができます。

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